
四合目には強清水小屋がありました。
二合目の大満から先は木立三里と呼ばれるほど、参道回りがうっそうとしたブナ林になります。
夏には蒸し暑さが充満するような大満原、ブナに覆われた神子石から強清水へ続く道。
強清水はこの道程にあって、月山一冷たい湧き水(地元ではデミズという)のある小屋として有名でした。
道者はここで乾いた喉を潤し、一息ついたんですね。
五合目の狩籠までいけば、尾根に通じる参道は潅木になり視界が開けてきます。
まだ夜が明けきらないころ宿坊を出立し、道者たちは涼しいうちに大満から強清水を通りすぎていきました。
小屋の向かいの山肌のくぼみには、生井神(いくいのかみ=井戸水の神様)が祀られていました。
冒頭の写真はおそらく昭和20年代の強清水小屋。
大正時代から小屋を営んだのは、羽黒町手向の富樫友太郎さんという方ですが
戦前には、手向で鍛冶屋を営んでいた生田鉄太郎さんが小屋掛けの権利を譲り受けたそうです。
強清水小屋は、冷たい湧き水に恵まれ、周りのブナ林でお汁に入れる青物が豊富に採れました。
とても恵まれた条件の小屋でしたが、戦後バス道路が延びるにつれ、道者は強清水で休む必要がなくなり、小屋も廃業せざるをえなかったと思われます。
ここの名物は冷たい湧き水を使った冷やしそうめんでした。
平成16年八月いでは文化記念館の企画で小屋跡が整備、清掃されて小屋の礎石や祠があらわになりました。