7月1日は、月山開山祭。
今年は天候に恵まれ、湯殿山まで駈けることができましたよ。
前日は雨でしたが、八合目駐車場からこの景色。
雲海に浮かぶのは鳥海山です。
この空の色を見ると、「月山に来た」と感じます。
月山の開山は「御戸開き(みとびらき)」といわれます。
御戸とは、江戸初期の慶長から元和にかけて呼んでいたそうで
今もその名残が伝えられているのだとか。
月山の夏は、九月十五日の「御戸閉め」まで、実に短い期間です。
まだ車道が月山八合目までつかなかった頃
月山への登拝は、月山十三仏道を歩きました。
かつて芭蕉もほぼ一日がかりだったといいます。
十三仏道とは、羽黒山から月山禅定(山頂)まで
十三の仏が配置されていたからで、参道には死者の霊が弔われていました。
人が死ぬとその霊魂は月山山頂に向かって旅立つ。
しかし、過去世の穢れが浄化されないうちは
途中のどこかで成仏できずに留まる・・・
十三仏道を歩き、死霊を供養することは
その穢れを浄化して、阿弥陀浄土に成仏するという願いなのでした。
かつて月山は本地阿弥陀如来、垂迹月読命を祀っていた山です。
明治維新以来、月山神社の主神は月読命(つきよみのみこと)。
伊邪那岐の右目から生まれた子神で
天照大神(あまてらすおおかみ)、建速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと)
と姉弟神です。
月読命はまた、夜を治める神であり、死者の国(黄泉の国)を司る神。
月と農業はかかわりが深いことから、農耕の神でもあります。
つまり月山は、死霊や祖霊の鎮まる山であるとともに
庄内に絶えることのない水を与える山なのですね。
そんな月山の開山祭なわけですが
前置きが長くなってしまいました。
さてさて、一行は駐車場から中ノ宮へ。
お祭りの無事を祈って参拝です。
ここから山頂への登拝スタート〜。
参道にはニッコウキスゲが花ひらき
緑の湿原に鮮やかなアクセントをつけていました。
一面に広がるのは例年七月半ば頃です。
無量坂で八合目中ノ宮を望むの図。
ふー、見晴らし良すぎ。気持ちいいなぁ。
山の中に入ると体がきびきび動きますねぇ。
九合目仏生池小屋を越えたところ。
この先に難所・行者返しが待ち受けてます。
途中で行仲間に合流しました。後ろに見えるのは大峰。そして
雪の向こうに見えるのが、月山山頂です。
ことし何度登らせてもらうかわかりませんが、
山駈けの無事を祈って。
開山祭が行われ、今年も夏が始まりました。
昼をはさんで、湯殿山へ下ります。
このルートですが、かつて行者、道者は月山山頂から湯殿山への稜線を
蘇悉地(そしつじ)と読んでいました。
「この上なき成就、妙成就」という意味です。
月山から湯殿山へ詣でるルートが、羽黒修験の信仰
つまり、月山へ登拝することで極楽浄土が成就され
薬師如来によって輪廻の世界を脱して、
湯殿山大日如来の宝窟(湯殿山のこと)で即身成仏できるという信仰
に合致していたからです。
途中には、万年雪として残る雪渓も。
遠くからみると山腹が牛のまだら模様にみえることから
月山は犂牛山(りぎゅうざん)ともいわれる所以です。
あにはからんや、この先では夏もスキーヤーをお見かけしますね。
さて、ここは薬湯場前。30年前まではここに小屋があったそうです。
近辺は浄土口ともいわれました。
湯殿山の御宝前に向かう月光坂を下る前に
装束を調え、薬湯をのみ、心身を清めたのでしょう。
浄土にいたる入り口ということですね。
ちいさな水芭蕉が花を咲かせてました。
春から初夏までの花が見られるとは、さすが月山です。
ここを下れば、梵字川。湯殿山へは間もなく。
湯殿山は、かつて出羽三山の総奥の院として
三山(中世には月山・羽黒山・葉山、その後に月山・羽黒山・鳥海山)
の奥に位置する、最も重要な聖地とされていました。
元亀・天正年間に、出羽三山に組み入れられて以来
大日如来の宝窟と崇めるようになったそうです。
タニウツギの咲く谷を下り
見えてきました。湯殿山です。
絶好の天気、一行無事の山駈け、これ以上望むべくもない開山祭でした。
ある時、三山講中のお年寄りと話していて
とても印象に残ったのですが、
足腰立たなくなったけど、開山祭に月山を登れて
ほんとうに山のお陰だなぁ、としみじみ仰られるんですよね(もちろん方言で)。
まだ体が動く若いうちは、自分が登ってきたとか
自分がやったんだ、と思ってしまうのでしょうけれど
山を登るって、それだけじゃないんですよね。
もっと大きなもので世界は回っているし
自分もその中で突き動かされているだけではないか、と
山にいると感じます。
それを感じることも、
山に登ってしまう理由の一つかもしれないなぁ、と。
さて、湯殿では今回もご神体の上で蛇と出会い、
参拝をして直会へ向かいました。
この天気で、日焼け跡が赤くなったのは言うまでもありません。
あ、酔いのせいではありませんよ。
いい景色だね!
今年もこんな天気で月山登りたいです。
晴れますよーに!
サンキューです。
イエイ!な天気でした。
今は焼けた皮がペリペリめくれてるけど笑
待ってるよ〜!!