
月山五合目には昭和36年まで狩籠小屋が掛けられていました。
小屋の周辺には大木や池や石があり、様々な歴史に彩られています。
小屋は大きな杉の下にありました。
この杉はその異様な形からご神木とも、これより上に杉がないことから限界杉ともよばれました。
その昔、月山登拝注になくなった道者や行者はこの大杉の裏に埋葬されたといいます。
根元には新山神社があり、その手前には蛇枕石と呼ばれる平な石がありました(今も残っています)。
18世紀はじめの文書である『三山雅集』によると、かつては鉾立新山大権現が守護したところだそうですね。
小屋の東側には龍神さまが住むという神秘の龍ヶ池(狩籠池、新山池とも)とよばれる崖があり、ここから滴り落ちる水を水樽に入れて運び、小屋の飲み水としたそうです。この場所からは庄内平野に浮かぶ鳥海山が展望できました。
西側には広大なブナ林があり、夏にはワケ(ヒラタケのこと。春はウグイスタケともいう)が採れ、汁に入れて道者に出されました。
小屋名物は赤飯ときのこ汁。小屋の近くで採れる青物のある場所は「小屋の畑」と呼ばれ大切にされたそうです。